在日学生の就活体験インタビュー
このコーナーでは、在日の就活例を分厚い記事にして掲載しています!
ほかの在日の人がどんな就活をしたのか、知りたい人は多いみたいです。でもそういう情報が集まる場所って特にありません。 そこで、在日ナビ編集チームでは、在日の大学生の就職活動体験をインタビューして集め始めました。
「自分と似たようなこと考えてる人がいるなあ」「こんな就活をした人もいるんだ」 などなど…同世代の在日が体験したり考えたことが、これから就職活動を始める&いままさに就活中の人にとって、何かの参考になれば幸いです。
※掲載内容は実際のインタビューの会話を編集者が適宜まとめ直したものになっています。
プライバシーの都合上、原則として会社名や個人名などは適宜修正し、回答者ご本人の了解を得て掲載しています。
文章の不備や誤解を与えるような表現があった場合、当然ながらすべての責任は書き手であるナビの編集者にあります。
また、現在集まっている体験談(インタビューデータ)の中から一部をしかまだ掲載できていませんが、
それ以前に現在集まっている体験談自体がかなり高学歴の人に偏ってしまっているという点は、現段階の限界として、どうしても断っておきたい点です。
今後、もっと広いデータを集めていく予定です。
最新記事
- 「ああ、ここで泳げたんや。川がキレイになったらいいな。」(朝鮮籍・男性・理系・市役所職員)
朝鮮籍。学生時代には在日学生団体「留学同」で活動する一方、勉強も就活も環境系ひとすじで取り組んだ。
目次
- はじめに
- 「ああ、ここで泳げたんや。川がキレイになったらいいな。」(朝鮮籍・男性・理系・市役所職員)
- 「人事のひとって別にそんなすごい人じゃなくて、あくまで人が人を見てるということ。あまり気負わずに、どーんと構えてやってほしい。」(韓国籍・女性・文系・人材サービス)
- 「行きたかった新聞社で、報道関係記者に。在日のことは、自分の幅として見せることができた。」(日本籍・男性・文系・新聞記者)
- 「在日を見えなくさせたくなくて」(日本籍・男性・文系・民族団体)
- 「揺れ動き、悩み抜いた二年間を振り返って」(韓国籍・女性・福祉関係)
- 「とりあえず大企業に就職したけど、今の自分だったら違うやり方で就活する」 (韓国籍・男性・文系・IT業界)
- 「韓国や世界につながる仕事に」(韓国籍・女性・旅行業界)
時間のある方は、ぜひ読んでみてください☆
朝鮮籍。学生時代には在日学生団体「留学同」で活動する一方、勉強も就活も環境系ひとすじで取り組んだ。
人材サービス系企業に就職。3年間勤めた後、大学院で学ぶ道を選択。
「日本人」で、「向こうの血を引いている」。ルーツは、関心を持ったり、何かをするきっかけとして、影響をもっていた。
日本国籍、民族名と日本名、そして民族団体への就職。
自分という人間全部を問い直される就活。テキトーな答えじゃごまかせない。
すんなり決めた就活。就職してから実感し始めた、自分のこと、会社のこと…
韓国留学をがちで活かして就活。最初はESをよく落とされたけど、見事追い上げて挽回!
はじめに
私たちが知る限り、行政やNPO、民族団体、あるいは研究者による、いまの在日の就職活動の実態を把握するという努力はほとんどなされていません。 まして、単なる就職実態というだけではなく、就活する在日がどういう経験をしているか、企業との対話や自己表現にどんな選択肢があるのか、ということを含めた状況の調査なんて、多くの人は思いもよりません。
就職差別がとても明確に、かつ強烈に存在した時代でも、実態調査はわずかしかないのですが、全くなかったわけじゃありません。 たとえば1990年代後半の差別状況を調査した大阪府教育委員会による調査では、非常に具体的な就職差別の体験が把握されています。
しかし、1990年代末までに履歴書から本籍欄が完全に削除されるなど、その後、状況が大きく変わったのは間違いないようなのですが、 いったいどう変わって、何がどうなったのか――狭い意味での「差別」がどうなったのかに限らず――については、調査がありません。 (もっとも、個人情報の保護の観点から、現在ではそういう調査は難しいことも一因なのかもしれませんが。)
今までも何らかの公的な機関や在日の団体には、在日の就活生からの切実な相談や体験談が寄せられてきたと思うのですが、そういうものが資料としてまとめられ、利用可能になっているところはないようです。
でもこういう調査や資料は必要だしあれば面白いというのがナビによる就活記事の出発点で、かつこれまで調査してきて今のとこ確信している点です。
以前に比べて、明確な差別がほとんどなくなったからと言って、当事者にとって知るべきことが何もなくなったのかというと、それはどうなんでしょうか?
就活する人は単純な採用実績だけでもいいから知りたかったり、在日であることに関する自己表現、自己分析についてどんな考え方、方法があるのかを知りたかったりします。 どんなことでもそうですが、就活のことにしても、いろいろ知ったうえで自分が考えて、行動するのがある意味当然だし、その方がしっかりした方針になるのでは?
実際インタビューに行ってみると、一人ひとりの考えたことを聞くのはとても興味深く、面白かったです。 そして、インタビューをこれまでに数件してみて、よく言われたのが、自分もそういう情報が知りたかった、自分の話が何かの役に立つなら、ぜひこれから就活する人に活かしてほしい、という思いでした。 それに応えられる記事になっているかどうか心許ないですが、実際の体験について話してもらった貴重な体験談なので、ぜひ時間をつくって読んで欲しいと思います。
インタビューをしてみて
インタビューをしてみて明らかになったのが、学生生活の間はほとんど気にしていなかったのに、就職活動を始めてみると、 自分が在日だということについて、とても気になり始めるという人が、実はけっこういるということです。 でもいくら気になったって、そういう情報なんてほとんどないし…という状況です(だからこそ余計に気になってしまうのだと思いますが)。
名前を民族名でいくか、日本名でいかないと不利か、などのように、話が具体的な場合、行動的な人なら大学のゼミの先生に相談したり、キャリアセンターに相談したりします。 でも自分の選択肢が不明確な場合や、そもそもただ知りたいだけのとき、使える情報拠点があれば、より良いんじゃないでしょうか。
もちろん就活はひとそれぞれです。ガンガン就活できちゃう人もいれば、立ち止まって考える人もいる。在日に関わる部分についても考え方は人それぞれで、
たとえば、
いまは親の時代と違って在日だからって差別されるわけじゃないので、そんな今だからこそ、自分が在日ってことを表現しないで本当にいいのか、どう表現するか、悩みながら進む人もいる。
その一方で、
国籍を採用前に明かさなくてもよくなった今だからこそ、採用前に企業に自分が在日であることを言おうなんてつゆほども思わないで就活する人もいる。
そういう様々な選択肢から、自分や在日3・4世について、またいろんなことが見えてくると思います。