揺れ動き、悩み抜いた二年間を振り返って

在日学生就活インタビュー
2010年5月15日

今回インタビューに答えてくれた人は、京都の有名私大の女子学生。

彼女は周りの人より長く、二年間にわたって就職活動をしました。 インタビューでは就活中の体験や気持ちを、インタビューしたこちらがびっくりするくらい、 丁寧に振り返って詳細に語ってくれました。

様々な悩みに丁寧に向き合いながら過ごしてきた就活。 その中で、最も重要なテーマの一つとして、「在日である」というテーマが現れてきたようです。

彼女の話の中には、そういった体験や気持ちが、リアリティをもって表れていました。

簡単な紹介

京都の有名私大の女子学生。

当初音楽業界志望だったのが、しだいに新聞記者志望に変化。 劇的な志望変更に自分自身も戸惑いながらの就活となり、満足な結果を得られなかったため、 卒業を一年遅らせて再挑戦することを選びました。2009年8月に行ったインタビュー当時、5回生でした。

志望が変化していくのと時期を同じくして、「自分が在日であること」に強い関心を持ち始め、 在日の歴史を勉強したり、在日集住地域のコミュニティに入っていったり、「在日関連(?)」のイベントに参加したりもしたそうです。

小中高一貫の私立進学校を卒業し、大学では心理学を専攻。 4回生で書いた卒論では1年間かけて一人の若いピアニストにインタビューを行いました。 粘り強く繰り返したインタビューを通じて次第に相手の信頼を得ることができ、 最後には中身の濃い貴重な語りを引き出すことに成功した経験も。

将来は高齢者やマイノリティに関わる支援活動に携わりたいということ。

後日談ですが、結局、新聞記者には合格できず、卒業の直前まで就職活動を続けました。 最後は福祉関係の法人に就職が決定、社会人としての新生活をスタートしています。

【活動期間】2007年12月~2010年3月
【就職先】手話の研修を行う社会福祉法人

就職活動のおおまかな流れ

音楽業界→新聞記者

ーまず最初にこれまでの就職活動の流れについて大まかに話してもらえますか?

えとー、活動を始めたのは3回生の12月(2007年12月ごろ)ですね。 始めたころは、以前から行きたいと思った音楽業界を中心にしてました。 レコード会社とか、音楽に関われそうな制作会社とか映画とか広告とか。

で、…1回大きく変わったのが、3回生の2月ですね。 (就活を始めて)3ヵ月後ごろに、音楽じゃなくて新聞の方に行こうかなと思い出しました。新聞記者ですね。

ーそれで、就活を始めて大体いま1年半

うん、1年半ですね。まあでも、新聞もやってたし、 新聞があかんかったらっていうときのことも考えて、ほかの業界とかも受けてました。

就職活動の進め方

リクナビよりもOB訪問やキャリアオフィス

ー就職活動の進め方は?

私の場合はナビを使うのと…軸にしてたのはOB訪問とか学校のキャリアオフィスですね。 うん、リクナビっていうか、パソコンでやることより。

キャリアオフィスでやってくれる面談も利用してたし、OBの就職活動とか内定先とか色々情報を出してくれてるんで、 それをもとにOB訪問。

ナビでは説明会とかエントリーの内容とか、そういった表面的なもの

最初は説明会

ー説明会に行き始めたのは、就活を始めてすぐ?

3回生の12月のちょっと前から、学校で説明会とかがあるんですよ。 学内説明会とか、企業じゃなくてキャリアオフィスがやってる就活自体の説明会みたいなの。あれは秋から行ってました。

ー音楽業界を志望しての就職活動、最初に取り掛かったことは?

一番先に手を出したのは、会社の説明会に行くこと。それと同時に、自己分析を意識してやり始めたのが最初ですね。

ー自己分析ってどんなことをやったんですか

ナビで自己分析ができるツールがあるんですよ。 最初の方はそれをやったり、なんていうかな… とりあえず自分の中だけで考えた自己分析してましたね。

エントリーシートとか書き始めるから、自分のこと書かなきゃいけない機会が増えてきて。 でも最初はほとんど一人でやってましたね。

自己分析を自分一人でやるのはマチガイ

ー「他の人たちはこういうやり方をしてる人が多い」っていうのはあるんですか?

学校とか企業とかで、「みんなで自己分析しよう」みたいな会があったりするんですよ。 最初の方はそういうのにはあんまり参加してなくて。

でも、間違ってるって途中で気づいたんですよ。 周りの子は友達同士で、「自分こういうとこあるやん」って、良いとこ悪いとこ言い合ったりしてるけど、私はしてなくて。 ほんでそういう友達を見たり、自分がエントリーシート落ちたりしてるのを見て、「あ、違うんや」って気がついて。

就活合宿

(年が明けて2008年)1月の中旬ぐらいに就活合宿があったんですよ。 学校が主催で、実際に細かいプログラムとか内容を決めてくれるのは、 就活終わってあと3ヶ月ぐらいで卒業するっていう4回生で。経験者の人がグループ作って。

それで自分の一つ年上で就活終わりたてほやほやの先輩の姿も見れるし、 自分と同じ状況である3回生の姿も見れて、「ああ今まで私がやってたことはすごく間違ってたんだ」って。

自己分析の仕方とか会社の探し方とか、間違ってるって気づいて、 そっからもっと色んな人と関わりながらやるようになりました。 キャリアオフィスに面談をお願いしに行ったのもそのころです。 「ひとりでやっとったらあかんわあ」って思って。

ーその流れは音楽業界から新聞記者に変わっていくのと重なってた?

それはまた別の流れで。あ、でもつながってんのかな… 自己分析しだして、自分の関心がさらに見えてきたのも、業界が変わったことの一つの原因かもしれないですね。

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